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「顔をなくした数学者」小林昭七

BookCover微分幾何および複素多様体の研究で、世界的な業績を挙げた著者の初のエッセイ集。「数学徒然」と題して書き留められた小片は、けっきょく完成を待たず遺稿となった。数学者の実像や数学記号がどんなふうに生まれたか、また「数学の美」とは何かといったエッセイから、数学および数学者に対する著者の深い思いが伝わってくる。(出版社のウェブサイトより)

ISBN978-4-00-005217-7 C0041。  詳細は下記URLを参照されたし。
http://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?head=y&isbn=ISBN4-00-005217 (岩波書店編集部からのメッセージおよび目次を読まれるにはここをクリック)。

岩波書店編集部からのメッセージ:

微分幾何および複素多様体の研究で、世界的な業績を挙げられた小林昭七先生が、2012年夏に急逝された。本書の原稿は、もともと科学ライブラリーの1冊として用意されていたものである。数学に関連するさまざまなトピックを小林先生なりの見方で料理して、広く一般の読者に、数学の面白さ、数学的思考の楽しさを味わってもらおうという企画であった。

2012年の春、先生から一束の書類が届いた。同封された手紙には、「まだ未完成であり、もう少し推敲したいので、まだ最終稿にはなっていない。この年末には仕上げるつもりだが、現状報告を兼ねて、原稿のコピーをお送りしておく」という内容が記されていた。見覚えのある字面で原稿用紙に書き込まれた原稿は一読して、いかにも小林先生の人柄を感じさせた。1日も早い完成を心待ちにしていたさなか、突然の訃報が飛び込んできた。一束のコピーが、けっきょく遺稿となってしまった。

ご家族や関係の方々と相談し、先生から未完成といわれた原稿ではあるが、こうして単行本として出版することができた。多くの方々に感謝したい。

目次を見るにはURL http://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?head=y&isbn=ISBN4-00-005217 をクリックし、右下のMORE INFO をクリック。

「この数学者に出会えてよかった:中学時代の恩師林宗男」
小林昭七

2011年5月に出版された表題の本の中で、小林昭七は長野県野沢中学(現在の野沢北高校)時代の恩師林宗男先生から数学を学ぶ喜びを得たことを綴る。

この数学者に出会えてよかった数学との出会いで、良い先生・良い数学者に出会うことは、大きな要因です。そこで16人の数学者に、人との出会いの不思議さ・大切さを自由に書いて頂きました。

はじめに

”数学との出会い”をテーマに、小社は『この数学書がおもしろい』『この定理が美しい』の2冊を刊行しました。本および研究分野との出会いに焦点をあてましたが、数学にとってもう一つ大きな要因は数学者との出会いであると思われます。そこで今回、3部作のまとめという位置付けで、数学者との出会いをテーマに本書を企画致しました。

良い先生・良い数学者に出会うことは、数学を志すときに非常に大きな要素であると言われます。数学者に魅了されて研究分野を選ばれた人も多くいらっしゃることと思います。出会いのエピソード、影響を受けたこと、数学者として学んだこと・魅了されたこと、人間としての交流などなど語れば尽くせないものが数多くあるのではないかと考えました。そこで、16人の数学者のかたに、ご自身にとっての”この”数学者との出会いをご自由にお書きいただきました。併せて、これから数学を目指そう、あるいは、いま目指している若いかたを読者として意識していただくことも御願いを致しました。

本書を通して、また既刊の2冊を含めて、これから数学を目指そうという読者のかたに、”数学との出会い”の大切さを伝えることができたら幸いです。

また、ご執筆を頂きましたかたがたに改めて感謝を申し上げます。

2011年5月 東日本大震災後 2か月
数学書房編集部

目次

  • 青本和彦: J. Leray教授との2年間
  • 小野 孝: 二人の巨星 C. Chevalley, A. Weil
  • 加藤十吉: 一期一会 野口 広
  • 河東泰之: 型破りの数学者 V. F. R. Jones
  • 河野實彦: 愛すべき数学者 Raymond Gerard
  • 小谷元子: 「以後の風景」のなかで, 混沌の裏には単純があると学ぶ Gromov,砂田利一
  • 小林昭七: 中学時代の恩師 林宗男
    1. 野沢中学と林宗男先生
    2. イプシロン―デルタ
    3. 放課後
    4. 高校進学
  • 杉山健一: 書物を通じて人と知り合う 岡潔, 小平邦彦, そして朝永振一郎
  • 高橋陽一郎: ボルツマンの夢 Ya. G. Sinai
  • 高橋礼司: ジャン・デルサルトへの想い
  • 武部尚志: レニングラードでの出会いから Evgeni Sklyanin
  • 西川青季: 情熱の人 小畠守生
  • 原田耕一郎: 古希に思う J. G. Thompson
  • 村上 斉: 数学者とはどうあるべきか Hugh Morton
  • 村瀬元彦: 子供の目 Maxim Kontsevich
  • 山本昌宏: 楽しめ人生, 楽しめ数学 Rudolf Gorenflo

「いまを生きるための教室;美への渇き、数学」
小林昭七

角川書店 (平成24年5月25日初版発行)

今を生きるための教室「学ぶ楽しさが、世代から世代へと伝えられてゆくことがすばらしいのだ」。なぜ、人は美しいものに惹かれるのか?どうして、他人を蹴落としても美しいものをもとめるのだろうか? そもそも、「美しい」とはなんだろうか? 誰もが一度は通る大きな問いに、各分野の第一人者が改めて真正面から答える。一日一教科、一週間であなただけの答えがきっと見つかる。自分の足で立つための教科書シリーズ第二弾。35万部突破の隠れたベストセラー!!

はじめに

国語―吉本隆明 選
体育―宗 茂
理科―多田富雄
道徳―大橋良介
数学―小林昭七

  1. 数学と美
  2. 数学の美を追求した古代ギリシャ
  3. 数学のギリシャ的精神を忘れるな

英語―ウイリアム・カリー
社会―吉本隆明