「小林昭七教授と数学月間」 片瀬豊

YutakaKatase

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YutakaKatase片瀬 豊
SGK(数学月間の会)代表

 

米国カリフォルニア大学バークレー校の小林昭七・数学名誉教授が昨2012年8月に昇天されました。心からのご冥福をお祈り致します。
「君は逝く 世界に虹を 渡しつつ」

2003年、米国に数学月間(Mathematics Awareness Month /MAM)というのがあると小林教授から紹介されました。山崎圭次郎教授らとウェブサイト(http://mathaware.org/about.mam.html)を調べたところ1986年に所謂レーガン宣言で始められ、社会の諸問題・各分野に対する数学の効用を強く意識して全国的に研究する様強力に進められて来ました。学生の数学力低下が強く意識されており、日本においても「ゆとり教育」が問題になっていました。そこで22/7がに近く22/8がeに近いところから7月22日~8月22日を数学月間とする様日本数学協会に提言し2005年に採択されるところとなりました(www.sugaku-bunka.org/数学月間の会 を参照)。

小林教授は世界各地を廻って特別講義やシンポジュウムをされており年に1回日本にも見えられたので数学月間に関する情報交換を続けて来た次第です。

米国MAMの目標は「数学の社会的理解と評価」を掲げており、日本では「数学と社会の懸け橋」を掲げて推進する事になって来ました。それぞれの大学が核になって数学月間行事を展開する様になっています。小林教授の遺志を継いで7/22~8/22数学月間行事を継続、拡大して日本の社会と数学界が益々発展する事を期待する次第です。

追記:米国における数学月間に関しては、小林昭七教授の随筆集「顔を失った数学者」(岩波書店、7月30日発行予定)の中の「数学サークル」を参照されたい。